Quadcept(クアッドセプト)の導入事例に「エンベック株式会社」様をご紹介

CASE STUDY

技術者としてのアイデンティティ

世界最高性能の放射光を生み出すSPring-8。
NASAが宇宙から持ち帰った彗星の破片の解析も行うこの施設には、各種制御装置にオープンバスアーキテクチャが導入されている。そのオープンバスシステム用のシャーシを設計・開発しているのがエンベック株式会社の堀之内氏である。
世界規模の施設に一人の日本人のエンジニアの技術が生かされていることは余り知られていない。堀之内氏はかつてドイツの筐体メーカーに勤務。しかし、リーマンショックで部署の縮小を余儀なくされ、本当にやりたい仕事は何かと考え、最終的にスピンオフを決断した。
その後、堀之内氏はエンベック株式会社を設立。たった一人での旅立ちであったが、堀之内氏にはドイツメーカー勤務時代に培った「合理的なものづくり」と「日本人の柔軟なものづくり」というアイデンティティがあった。

設計者として、職人として、徹底的にこだわり続ける

堀之内氏が手掛けるある装置向けのシャーシは、あえて基板をむき出しにする奇抜なデザインになっている。このような構造はあまり一般的ではない。しかし、それにこそ意味がある。顧客の要求仕様は、持ち運びやすくすること、試験をし易い構造とすること、そしてコストを下げること。そこで堀之内氏はそのマシンが使われる環境を徹底的に調査した。通常、ホコリを避けるために筐体の中に基板を組み込むことが一般的だが、このマシンが使われるプラント内はそもそもホコリがつきにくい特殊な環境であり、ケースインを考慮する必要がないという事実を知る。こで不要なところは思い切って削るという策に出た。その結果が「基板をむきだしにする」というデザイン。また、重心を考慮し、バランスを良くすることによって、重い筐体を片手で持ち運びできるように軽くし、コストを下げることも実現した。また、ゴミを出さない段ボールパッケージを採用。環境に配慮し、ゴミの分別をしやすく、箱の再利用まで考えられている。

Quadceptを選定した理由

リーズナブルな価格

まずは圧倒的なコストパフォーマンスです。回路設計で使用していますが月額3,980円の利用料であるにも関わらず、ハイエンド製品と比べても遜色ない機能性に驚いています。低価格製品は、安かろう悪かろうで、サポートもないというイメージしかありませんでしたが、Quadceptはそうではなく、コストパフォーマンスが最高に良いと思います。
企業向けで使用されているCADは価格と機能は比例して上がっていくのですが、Quadceptは良い意味で反比例しており、この価格で何百万する高価なCADシステムとほとんど機能の差がないことが驚きでした。月額料金で使えるというのは業界で初めてのことだと思うのですが、常時、回路設計ツールを使用しているわけではないので月ベースで契約できることから経費の削減もできて、重宝しています。

国産CADの良さを実感させる「機能面」

機能については、海外製品を長く使用していたので、日本製であるゆえの操作性やUIを自由にカスタマイズできるキメの細かさに国産CADの良さを実感しています。設計時間の短縮にも役立っていますしね。また、この機能が欲しいとリクエストすると、どんどん追加されていくので、使っていて楽しいですね。Quadcept社では電子設計者がいて設計者の意見を操作面、機能に反映させていると聞きましたが、そのあたりがユーザー目線で使い勝手の良いところなのでしょう。正直、これで収益が上げることができるのかと思いましたが、 担当者からQuadceptが業界初のビジネスモデルであることを聞き、その理由が分かりました。Quadcept(当時はSamurai Graphics)が世の中に出だしたころに僕も独立したというのもあって、すごく応援をしていますし頑張ってほしいと思っています。

エンジニアとしての覚悟

回路設計と機構設計までを一人で行う堀之内氏にとって、顧客との絆はなによりも大切だ。 一番つらいのはお客様から依頼された仕事をやむを得ず断らないといけない時です。 と話す堀之内氏にその理由を聞いてみると、「仕事を断る=次の仕事はない。ですからね。」という答えが返ってきた。 一人で世界に対峙しているエンジニアの矜持が垣間見えた瞬間だった。

その上堀之内氏はどんなトラブルがあろうが、絶対に乗り越えられるという信念がある。何か大きな困難に直面したとき堀之内氏は、 「トラブルはいつか終わる」と自分に語りかける。最悪の事態を想定し、冷静に対処法を考えるためである。 設計は仕様変更に伴う反映作業に多大の時間を要するため、外部のリソースに依頼する訳にはいかない。 それ故、全てを自分の力で解決するという覚悟を持ってプロジェクトに臨んでいる。

日本のエンジニアや職人が尊敬されるように

堀之内氏が、Quadcept Circuit Designerを使用して開発する、温湿度制御の10層基板は、日本の大手メーカーに納められ、大手半導体メーカーの設備の一部としても使われる。そんな堀之内氏は「エンベック」と言う会社は、黒子としてなので目立たないように社会貢献しながらも、知る人ぞ知るブランドにしたいという野望を持っている。また、「ものづくり」を社会構造の根底に据えることにより、もっとエンジニアや職人がのびのびと楽しく仕事ができる環境整備が必要だと考えている。

例えばドイツの場合、仮にEU諸国の景気が悪くなっても経済は堅調だ。
ものづくりを社会構造の根底に据えているドイツの経済構造は、国際経済にありがちな諸外国の景気変動による要因をあまり受けないため、底が厚い。そこには、ドイツ人のエンジニアや職人は、自信と誇り、それとやりがいを持っているからでは。と堀之内氏は言う。
ドイツメーカーで長く働いた経験を持つ堀之内氏は、ものづくりをベースにした社会構造基盤のパワーを心底理解している一人だ。日本も同じようにものづくりをベースにして発展を遂げてきた国ではあるが、職人や技術へのリスペクトが文化の底流に流れるドイツから学ぶべきことは多いと考えている。世界を知る堀之内氏だからこそ、日本のものづくりに対する思いは真摯でどこまでもまっすぐだ。

商号エンベック株式会社 Embeck Co., Ltd.
設立2011年4月
事業内容EPSの開発・製造・販売
本社所在地〒141-0001 東京都品川区北品川5-5-15 大崎ブライトコア4F
電話番号03-5795-1800
ファックス03-5795-1801
企業サイトhttp://www.embeck.jp