Quadcept(クアッドセプト)の導入事例に「太洋電機産業株式会社」様をご紹介

CASE STUDY

技術の、その先に進むためには、
基礎がないとハードルを越せない。

特任教授 柏木 隆良 氏

元は自身も電通大の卒業生で、高校の物理教員だったという柏木 隆良 特任教授。17年間の教員生活の後、電通大の大学院に入り、コンピューターサイエンスの研究を始める。大学院卒業後は神奈川県の教育センターに移り、情報教育の指導主事に就任、県下の高校800人の情報教科の教員を指導するようになった。時代はサイエンスフロンティア。国の主導で高校での情報教育に重点を置く中で、神奈川県下全域の高校の情報教育を推進する仕事をやってのけた。その後、神奈川総合産業高校の副校長に就任。さらに鎌倉高校などの校長職を歴任するという根っからの教育者である。

専門分野はコンピューター、ネットワーク領域である柏木氏だが、教員退職後は個人で電子回路の勉強を始め、フリーCADを使ってFPGAボードなどを自作していた。その間、Maker Fairなどのイベントやショーに参加。さまざまな人に出会い、情報交換をしながら自身で電子設計の学びを深めていったという。現在、電通大のアドミッションセンターの特任教授を務めているが、高校との連携や、多摩地区の国立大学が連携したセミナーなどの調整をしている。そのような仕事の中で、小学生から大学生までが情報技術を簡単に使えて学べる教育用のIoT機器の開発に注目。自作の基板や、micro:bitを使って何かできないかと考えている。

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    ロジックICで作成したオリジナル4bitCPU学習ボード

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    micro:bit互換オリジナルmbedボード

Quadceptを選定した理由

今まで使っていたCADとは比べ物にならないほど、配線機能が豊富。

特任教授 柏木 隆良 氏

フリーのCADを使って試行錯誤しながら基板を自作していました。やはり見た目も大切なので、かっこいい基板を作るために、複雑な配線をしなければなりません。そのため、配線を手作業で行っているのですが、Quadceptは束配線や押し付け配線など、フリーのソフトとは比べ物にならないほど、PCBの配線機能が洗練されています。特に、今開発している基板は狭小なエリアに配線しなければならないので、Quadceptの配線機能がとても役立っています。

最初の出会いは、確か2016年のMaker Faire Tokyoだったと思います。あるマイコンボードを見に行った際、たまたまブースに立ち寄ってデモを拝見しました。豊富な機能と直感的に操作ができるUIを見て、これからの開発はQuadceptにしようと思ったことを覚えています。今では学習用に開発しているボードは全てQuadceptで設計しています。Quadceptにはフリーで使える25万点ライブラリもありますが、今後は、このような部品が使いやすい、など、ユーザー間で情報交換ができるコミュティやグループなどがあればいいなと思っていますし、企業は無理でも、フリー版を使っているユーザー同士で部品ライブラリの共有ができるような場があれば助かりますね。今後、そのような場を作っていただけることを期待しています。

仕組みを覚えるためには、実際にモノを触り、身をもって学ばなければならない。

自分の場合はどうしても教育者という視点になるのですが、日本の若い子たちに、コンピューターサイエンスの基礎をしっかりと学んでもらいたいと思っています。自分のテーマは、コンピューター教育。今の学生は完成品しか見ていないので、中身を見せることで仕組みを教えたいと考えました。そこで思いついたのが、自作の4bitCPUを搭載したボードです。アーキテクチャを考えるのに一年くらいかかりましたが、これはスイッチを押すとプログラムカウンターが動作します。今、一秒間に10回の周波数、10Hzの信号が送られていますが、それが点滅で見えるようになっています。目で見えるので100Hzの速さが分かります。面白いですよね、今は数十GHzの高周波基板がざらにあるこの時代に10Hzを体感できるのですから。これをさまざまなイベントで展示するといろんな人から質問が来るので面白いです。ちなみにこの基板もQuadceptで設計しました。

大変だったのが、部品調達です。昔からある基本的なロジックICを使って開発しているのですが、中にはどうしても手に入らない部品があり、在庫を探すのが大変でした。部品が手に入らないため、量産することができないのが難点です。そこで教育現場に安定供給できるように、次のバージョンは複数のPIC(Peripheral Interface Controller)を組み合わせて、動作状況が見えるCPUが開発できないかと考えています。最新のPICは、プログラマブルな組み合わせロジック機能を持つCLCがあるため、複数のロジックICをまとめることが実現でき、値段も安く済みます。PICを使えば自分の好きなALUを試すこともできますよね。

このように、教育現場でコンピューターの基礎を教えることの意義は、技術のその先に進むためです。学びを進めていくと、どこかで必ずハードルにぶつかる瞬間がある。そのハードルを自分の力でしっかり越えるためにはコンピューターサイエンスの基礎が必要です。しかも本に書いていることを覚えるだけではなく、身をもって知らなければならない。体で覚えるということがとても大切です。これからも教育者として、研究者として、基礎をしっかり身につけた骨太の学生を育てるためにできることをやっていきたいと思います。

学校名国立大学法人 電気通信大学
学校紹介東京都調布市に本部を置く日本の国立大学。
創立100周年を迎える2018年に向けて「総合コミュニケーション科学」の創造と「Unique & Exciting Campus」の実現を目指している。
学校サイトhttp://www.uec.ac.jp/