
静電気放電(ESD)は、電子機器の誤動作や故障の大きな原因のひとつとなります。API(Amber Precision Instruments)の SmartZap シリーズ は、ロボット制御と高精度ソフトウェアを組み合わせた 完全に自動化された ESDガンテスターです。設計開発から量産検証まで、再現性の高いノイズ耐性試験を提供し、製品の信頼性と品質保証を強力にサポートします。
SmartZapの特長
- 完全自動化されたロボットESDガンテスター
- 業界標準試験プロトコルに準拠(モデルにより非準拠のものもあり)
- 6軸または4軸ロボットを採用し100µmの高精度を実現
- 最大5方向からの放電試験が可能(モデルにより制限あり)
- 多様なツールヘッド対応(ESDガン、ハード/ソフトフィンガー、放電ブラシ、吸着カップ、イオナイザー、電流クランプ、ボルトメーターなど)
- 試験点割り当てをティーチング、カメラ、またはCADファイルで柔軟に設定可能
- IEC 61000-4-2準拠のESDテーブルを装備(Proモデル)
- オプションでカメラ、故障検出モジュール、DUT反転、Pick & Place機能、自動チップ交換、安全フェンスなどを追加可能
SmartZap シリーズのラインナップ

SmartZapシリーズは、用途や試験要件に応じて選べる3モデルを展開しています。
最上位のSmartZap-Proは6軸ロボットを備え、業界標準に準拠した全面自動試験と多彩なツールヘッド、オプション機能を搭載したフラッグシップモデルです。SmartZap-Sは4軸構成で基本性能を維持しつつ、上面放電を中心とした簡易版として導入しやすいモデルです。
SmartZap-PTはピンテストに特化した設計となっています。
項目 | SmartZap Pro | SmartZap S | SmartZap PT |
---|---|---|---|
概要 | HW/SW機能をフル搭載した5面放電対応モデル | 上面:標準 側面:ガンを手動で傾けて放電 |
・ピンテスト最適化モデル ・垂直/水平方向のみ |
規格適合 | 業界標準の試験プロトコルに準拠(IEC 61000-4-2) | 業界標準プロトコルの基準を満たさない | 業界標準プロトコルの基準を満たさない |
ロボット仕様 | 6軸ロボット、100µm 精度 | 4軸ロボット、100µm 精度 | 4軸ロボット、100µm 精度 |
放電方向 | 5面(上面+4側面) | 上面:標準 / 側面:ガンを45°手動傾斜 | 垂直および水平方向のみ |
ツールヘッド対応 |
|
|
|
印加点設定 | ティーチング/カメラ/CAD ファイルから設定可能 | ティーチングによる設定 | ティーチングによる設定 |
試験テーブル | IEC 61000-4-2 準拠テーブル(60cm×60cm HCP、上面に 0.5mm 絶縁シート)付属 | テーブル付属なし | テーブル付属なし |
オプション |
|
|
|
SmartZap Pro

SmartZap Proは、静電気放電試験の国際規格 IEC61000-4-2に準拠し、ロボット制御で完全自動化されたESDガンテストシステムです。
規格準拠のESDテーブルを標準装備しており、本格的な認証試験や信頼性評価に最適なモデルです。ESDガンを4軸または6軸ロボットに搭載し、印加点の設定から試験条件の管理までをソフトウェアで一元制御。さらに、DUT上の残留静電荷を自動で除去する導電ブラシを備えることで、試験精度を一層高めています。
国際基準に基づいた耐性評価を正確かつ高い再現性で実施できるだけでなく、自動故障検出機能の搭載により、従来の手動ESDガン試験と比べて格段に高い再現性と信頼性を実現します。
主な特長
- 任意のESDガンモデルに対応
- 5面からの放電をサポート
- 自動故障検出機能
- DUTのピックアップ/設置に対応
- ガンチップの自動交換
- コネクタの抜き差し操作を自動化
- DUTの反転(フリップ)機能
- レポート生成のカスタマイズが可能
- 印加点の設定
- CADモデルからの印加点定義に対応
- DUTの位置ずれを自動補正
- キー操作やタッチスクリーン試験に対応
- 導電ブラシで静電荷を除去
- IEC 61000-4-2 準拠のザップテーブル
- ピンテスト(端子/コネクタ用)に対応
印加点の設定

SmartZap Pro では、被試験体(DUT)上の印加点を柔軟に定義することができます。カメラで撮影した画像上から直感的に指定できるほか、CAD モデルを利用して設計データに基づいた正確な位置を設定することも可能です。これにより、試験環境や実装状態に応じた精度の高い評価を実現します。
故障検出機能

SmartZap Pro は、自動故障検出機能を備えており、ESD 印加後に DUT が示す異常を即座に検知します。アナログおよびデジタル信号を同時に監視し、フォトセンサーや音響入力など多様な検出手段を組み合わせて異常を判断します。さらに、DUT の電源を自動で断続させながら再試験を行うことができ、マクロ機能を用いることで検出からリカバリーまでの流れを効率的に制御できます。
ソフトウェアによる自動機能
- DUTのピックアップ & 設置
- ガンチップ交換(接触/気中放電用)
- コネクタの抜き差し操作
- DUTの反転
- DUTの位置ずれ自動補正
SmartZap ソフトウェアは、試験に必要な多くの操作を自動化することで再現性を大幅に向上させます。 DUT のピックアップや設置、反転動作、さらには位置ずれの補正までを正確に行うことができ、ガンチップの交換やコネクタの抜き差しといった細かな作業も自動的に制御します。これらの機能は追加の電気アクセサリを必要とせず、空気圧回路のみで動作するため、システム全体をシンプルかつ安定した構成で運用することが可能です。
レポート生成

SmartZap Pro は、試験結果をわかりやすく整理したレポートを自動的に生成します。ユーザーはテンプレートを自由にカスタマイズでき、測定ログや画像、テキストを統合したドキュメントを作成できます。これにより、社内での共有や外部への提出に活用できる高品質な報告書を効率的に作成することができます。